高齢者の栄養 高齢者の栄養

高齢者の栄養

高齢化社会と言われ数年が経過していますが、この高齢化社会は、日本だけの問題ではなく先進国をはじめとする各国で問題となっています。現在の高齢者が、若い頃を何を食べ、何をしていたかを考えても特別なものは思い浮かばないですが、しいて言えば、穀類中心の食生活で野菜や魚介類を主菜や副菜に取り入れていた「日本型食事」であった事が理由だと考えられます。明治時代から大正時代に生まれた人々は、栄養不足による食事だけではなく、当時流行していた結核やインフルエンザなどの伝染病などの流行により多くの人々が亡くなっている。この時代を生き抜いた方々は、栄養バランスの良い食事だけではなく、その人々が過酷な環境で生き抜いてきたこともあり今日の長寿があると考えてもおかしくありません。日本における平均寿命が確実に延びてきた理由には、敗戦後の経済復興とともに生活水準が向上し、食生活が豊かになった事があげられます。栄養状態の改善のみでも今まで国民病として恐れられてきた各種の病気が抑えられてきた事や衛生や医療体制が整備され、全ての年齢層での死亡率は低下しています。

高齢者の栄養の特徴

65歳以上の高齢者は、筋肉の減少による基礎代謝が低下し、脂肪が増え、水分量が減少する老人特有な体型になる。また、加齢と共に内臓の機能も低下に伴う消化や吸収能力の低下、嚥下困難になる方も増えます。その為、高齢者の栄養は、低栄養にならないように考慮した食事にする必要があります。さらに加齢と伴に様々な疾患になりやすく、骨折、腎機能低下、脱水症などに注意が必要です。この中で低栄養は、よく高齢者が経験する健康上の問題であり注意する必要があります。

高齢者がなりやすい各臓器の生理機能の変化

  • 咀嚼力の低下(歯の脱落,咀嚼筋力低下など)
  • 味覚の低下
  • 口腔衛生の低下(歯肉の慢性炎症)
  • 摂取量の低下(運動量の低下)
  • 嚥下能の低下
  • 消化・吸収率の低下
  • 便秘の増加
  • 精神的問題(特にうつ病)
  • 器質性多疾患

高齢者が低栄養に陥る原因

高齢者が低栄養に陥る原因として考えられるのは、①.毎日同じような食事をする、②.1日および1回の食事摂取量が少なく欠食することもある、③.今まで慣れ親しんだ食物嗜好や食習慣に摂食が左右される、④.慢性疾患・薬物服用・咀嚼・嚥下障害などがあります。高齢者にみられる栄養不足は、タンパクエネルギー栄養不足であり、生体修復再生機能が停滞し、代謝酵素活性の低下を伴っていることがおおいです。身体は衰弱し病気に罹患しやすい。疾病や創傷からの回復が遅延し、抵抗力の低下による感染症も増加します。したがって死亡率が増加し、入院日数の延長や再入院率も増加します。これらは、QOLの低下であり、医療費の増大となる。この栄養不足に代表される症候群には、マラスムス症候群クワシオルコル症候群などになることもあります。

高齢者が欠乏しがちな栄養素

  多く含む食品 不足するとどうなるか
タンパク質 卵、肉、魚、牛乳、大豆など 筋肉が衰えるなど、身体全体の機能が低下する。体力や思考力が低下する
カルシウム 牛乳、バター、桜えび、しらす干し、豆腐、チーズなど 骨と歯が弱くなる。神経質になったり、イライラしやすくなる。
あんず、かき、かつお、春菊、枝豆、パセリ、ほうれん草、あさりなど 貧血、疲れやすく、忘れっぽく、根気がなくなる。
亜鉛 かき(貝)、牛肉、米 味覚障害。
ビタミンB6 レバー、卵、緑黄色野菜、魚 皮膚に炎症が起こりやすい。
ビタミンB12 レバー、卵、肉、魚介類 悪性貧血、運動失調、口舌炎、味覚障害。
食物繊維 ごぼう、れんこん、大豆 便秘になりやすくなる。

高齢者の食事方針

高齢者が長く健康的にいる為には、必要な栄養素をしっかり補う事が重要であると考えます。高齢者の消化吸収能力は低下しますが、実生活では消化器の病気をしてない限りでは大きな問題はないと考えています。その為、高齢者の為に特別消化吸収の良い食事を用意する必要はないですが、嚥下困難や咀嚼力が弱った高齢者には特別な配慮が必要であります。高齢者は味覚が鈍くなる傾向があり味付けが濃い食品を好む傾向があります。その為、糖尿病や肥満、腎疾患や高血圧になる原因とも言われていますので注意が必要です。また、欠乏しやすいカルシウムやタンパク質は積極的に補いたいものです。高齢者の為の特別な食事方法はないが、基本は薄味にして、色々な多くの食材を摂取するような献立にしましょう。また、体の状況にあわせ食べやすく、味に工夫を加え、食生活を楽しむことが長寿の秘訣の1つであります。