栄養素の過剰摂取と欠乏候による栄養状態の判定 栄養素の過剰摂取と欠乏候による栄養状態の判定

身体測定による栄養状態の判定

栄養の良否は、最終的には身体微候として現れるが、各栄養素の欠乏や過剰に対しては、特異的な症状がなく、また、栄養の欠乏や程度、持続期間などによって微候が変化するので、熟練した専門医の視診や触診によって診断がされます。身体微候による栄養状態の評価には、特別の器具や試薬を必要とせず、容易に多人数の栄養状態を調べる事がという利点があるが、主幹が入りやすく、身体測定のような数量化も難しいので、さらに詳しく血液検査や心電図などの検査をあわせて行う事で最終的な判断を出すことが一般的であります。栄養素の過不足によって身体に現れる微候には以下のものがある。

エネルギーとタンパク質の欠乏

エネルギー欠乏では体重が減少をし、成長が阻害される。体脂肪が消失し活動能力も低下する。また、糖新生のために体タンパク質が使われるので、結果としてタンパク質欠乏症を伴う。逆にエネルギー過剰摂取では、体脂肪が増大し肥満となる。肥満になると運動能力も低下する。タンパク質・エネルギー栄養欠乏は、PEMといわれ、タンパク質欠乏を主原因とするクワシオルコルとエネルギー欠乏を主原因とするマラスムスの2つに分けられる。いずれも発展途上国の乳幼児に多発している。(参照) タンパク質の栄養と摂取不足による影響

クワシオルコル

クワシオルコルは、クワシオルコールあるいはクワシオコアとも表記されるタンパク質の摂取が不足することで起きる栄養失調の一形態です。クワシオルコルの症状があらわれるのは、1歳から4歳の小児に多いが、年長の児童や成人でも見られることがある。これは、乳児の離乳後の食事がデンプンや炭水化物中心でタンパク質に乏しければ、子どもがクワシオルコルを発症する可能性がある。クワシオルコルの診断基準は足の浮腫である。他には、腹部の膨張、脂肪性浸潤物による肝臓の肥大、細い毛髪、歯の脱落、肌の脱色および皮膚炎が挙げられる。クワシオルコルの患者は、ジフテリアや腸チフスなどの疾病に対するワクチン接種を受けても抗体を作ることができない。その為、感染症などにより死亡するリスクが高くなっています。クワシオルコルの治療は、にカロリー源とタンパク質を加えることで対処することができる。しかし、この疾患は患児の心身の発達に長期にわたって影響を及ぼすことがあり、また症状が激しい場合は死亡することもあります

マラスムス

マラスムスは、体に備蓄されたエネルギーとタンパク質がいずれもすべて枯渇する状態をいいますす。マラスムスになった子供の体は衰弱し、体重が適正体重の80%以下になることもある。クワシオルコルの発症率は18か月を過ぎてから増加するのに対し、マラスムスの発症率は1歳になる前に増加する。予後はクワシオルコルよりも良好です。マラスムスが発症するのは、全般的な栄養不良に陥ったためにタンパク質、脂質、炭水化物が不足しているときである。この疾患は発展途上国においてしばしば発生する。とりわけ乳離れして離乳食を口にしだしたばかりで十分なエネルギーを摂取できない子供に発生しやすいです。マラスムス患者は、消化酵素の機能の不足と、腸内の脂肪を吸収する胆汁酸の機能の阻害を引き起こし、増殖したバクテリアによって変性させられ機能を失うこともあります。マラスムスは、栄養失調のために吸収と消化が妨げられやすくなることによって症状が重症化することがある。

ビタミンの欠乏

 ビタミン過剰症・欠乏症 過剰症・欠乏症の内容 
ビタミンAの過剰症
ビタミンAの欠乏症
 ビタミンAは、目の働きを正常に保ち、成長、発育を促し、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあるので、ビタミンAが欠乏する事で夜盲症、角膜乾燥症を引き起こし成長も停止する。一方、ビタミンAは脂溶性ビタミンでもあり過剰症が認められている。しかし、ビタミンAの過剰症は非常に稀で一般の食事では起きづらい。
ビタミンB1の欠乏症 ビタミンB1が欠乏すると、末梢神経または中枢神経と心臓に異常が現れる。主症状は、末梢神経障害と心肥大として現れる脚気と中枢神経系に障害を起こし、眼球運動障害、運動失調、神経障害などを特徴とするウエルニッケ脳症の2つに分けられ、いづれもビタミンB1投与で治療できる。日本では、脚気が多くウエルニッケ脳症は少ない。欧米では逆の傾向である。
ビタミンB2の欠乏症 ビタミンB2が欠乏すと咽頭痛が起こり、口角炎、舌炎、鼻周囲に脂漏性皮膚炎などが生じる。しかし、これらの症状はビタミンB2欠乏症に特異的なものではないので、診断を確定するためには血中ビタミンB2濃度の測定が必要である。
ナイアシンの欠乏症 ナイアシン欠乏症は、ペラグラである。ペラグラの症状は、皮膚炎、痴呆、下痢、この頭3文字をとって3Dとも呼ばれる。
ビタミンB6の欠乏症 ヒトでは腸内微生物によって合成されるビタミンB6は、欠乏症を起こしづらいビタミンでもありますが、近年では経口避妊薬を長期間服用するとビタミンB6の欠乏症になる事が明らかになってきました。ビタミンB6の欠乏症は、舌炎、皮膚炎、神経炎、けいれん、貧血などがあります。
ビタミンB12の欠乏症 食事として摂ったビタミンB12は、胃粘膜中の内因子と呼ばれるムコタンパク質と結合して複合体となったのち小腸下部の回腸粘膜の受容体に吸着して吸収される。したがって、胃切除などによって内因子が欠乏状態になるとビタミンB12吸収障害が起こり悪性貧血になる。初期にはハンター舌炎という痛みの激しい舌炎が起きる。その他。知覚異常など神経障害を合併する事もある。
ビタミンCの欠乏症 ビタミンCは、血管壁の細胞どうしを接着させる働きがあるコラーゲンの生合成に関与している。ビタミンCが欠乏するれば血管壁がもろくなり、出血しやすくなり、壊血病になる。歯や骨の発育も遅れる。
ビタミンDの欠乏症 ビタミンDの欠乏症は、小児では、くる病があり、成人では、骨軟化症、老人では、骨粗鬆症を引き起こします。いづれも歯や骨へのカルシウムの沈着の低下が原因である。一方、ビタミンDの過剰症もあり、骨やその他の臓器にカルシウム沈着が促進され石灰化し、臓器の機能が低下をし、最終的に死に至る場合もある。これらは、普通の食事では起きづらくサプリメントなど誤って大量に継続的に服用した場合に起きるものであります。
ビタミンについての詳しい情報は、ここから参照できます。
  ビタミンの過剰摂取による症状(過剰症)
  ビタミンの摂取不足による症状(欠乏症)

ミネラルの欠乏

 ミネラル過剰症・欠乏症 過剰症・欠乏症の内容 
鉄の欠乏症 体が鉄欠乏を防ぐために、体内の鉄の再利用、鉄貯蔵タンパク質でもあるフェリチンの存在、鉄の摂取量に応じた吸収量の調整など様々な機能を備えているが、最も欠乏しやすいミネラルの1つであります。一般的な鉄欠乏症は、鉄欠乏性貧血とも呼ばれており、疲れやすい、食欲不振、無力感などが主な症状です。
ヨウ素の欠乏症
ヨウ素の過剰症
ヨウ素が欠乏すると甲状腺腫が発生するが、周囲が海に囲まれた日本では海藻類などが豊富にあり、普通に食生活をしていれば欠乏症になる事はすくない。しかし、東南アジアやインドでは、ヨウ素欠乏による甲状腺腫による患者は多い
カルシウムの欠乏症
カルシウムの過剰症
カルシウムは、ヒトを構成するミネラルの中で一番多い成分である。カルシウムは神経伝達物質にも使われ、体内のカルシウムが欠乏すれば骨に蓄積していたカルシウムを動員させスグに欠乏症になる事は少ない。しかし、長期間欠乏状態が続く事によって骨の中のカルシウムは放出されつづけカラカラの状態なり骨粗鬆症になる事が多い。
ビタミンについての詳しい情報は、ここから参照できます。
  ビタミンの過剰摂取による症状(過剰症)