栄養の吸収栄養の吸収

栄養の吸収

口で摂取した食品をかみ砕いて細かくし、唾液と混ぜて飲み込みます。唾液には糖質を分解する酵素が含まれていて、食べ物と一緒に飲み下されて胃に入った後も、胃液が働くまで作用し続けます。唾液の分泌をうながすためには、よくかむことが大切です。また、かむ回数が多いほど満腹感が得られ、脳もリラックスすると考えられています。唾液と混ぜられた食べ物は食道に送られます。小腸では腸液が分泌され、ほとんどの栄養素が分解、吸収されます。吸収された栄養素は、下の2つの経路を通って全身へ運ばれ、さまざまな器官で利用されたり、貯蔵されます。腸の毛細血管→門脈→肝臓→静脈→心臓→全身へ 糖質、一部の脂肪酸、たんぱく質、ミネラル、水溶性ビタミン、水 2.リンパ管→胸管→静脈→心臓→全身へ循環していく。

糖質の栄養吸収

糖質の吸収は、マルターゼ、ラクターゼ、スクラーゼなどの二糖類分解酵素により膜消化が行われ、絨毛の吸収上皮細胞に取り込まれる。その際、単糖類であるグルコースは、微絨毛に存在する担体と結合をし、Naとの共輸送により小腸粘膜上皮細胞へ取り込まれる。すなわち、Naがグルコースとともに同一の担体へ結合をし、細胞内へ共輸送されると Na は Na能動ポンプにより細胞内から漿膜側に能動的にくみ出され細胞内で低Na濃度を維持する。このようにして細胞内外のNa濃度差が大きくなると細胞外から細胞内へグルコース共輸送するときに大変都合がいい。Naがグルコース輸送の駆動力となる。グルコースはNaとの結合においてガラクトースと競合する。

タンパク質の栄養吸収

アミノ酸の吸収は、その前段階で刷子縁(微絨毛+週末網構)においてジペプチターゼ、アミノぺプチターゼによる膜消化により行われる。これは糖と同様にNa依存性で能動輸送による。アミノ酸の腸管吸収は多くの点で糖質と類似をしている。一部のオリゴペプチド(アミノ酸2から6個)は、そのまま吸収されることも最近の研究で判明してきた。それは小腸粘膜細胞内にオリゴペプチドを分解するオリゴぺプチターゼやジペプチターゼの存在がある事が明らかになり、オリゴぺプチターゼがこれまでの輸送の根拠ともなった。特定のアミノ酸を吸収しない先天的な病気の患者では、ジペプチドの形のままで吸収されるのではないかと考えられ、この方法がアミノ酸よりも吸収が早い事が明らかになってきた。

脂質の栄養吸収

口から摂取した飲食物を胃腸で分解され小腸に届けられた脂肪の大部分は、トリアシルグリセロールである。このトリアシルグリセロールは腸管内ではじめて膵リパーゼにより、脂肪酸とモノアシルグリセロールに分解される。脂肪酸は構成している炭素の鎖の長さにより長鎖脂肪酸(炭素数14~18個)や中鎖脂肪酸(炭素数8~12個)や短鎖脂肪酸(炭素数6個以下)があり、短鎖脂肪酸および中鎖脂肪酸は水溶性で血中アルブミンと結合しており、グリセロール同様に門脈へ移行吸収される。これら短鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸は食事にはあまり含まれていない。食事中の主な脂肪酸は長鎖脂肪酸であり、消化された長鎖脂肪酸やモノアシルグリセロールは胆汁酸塩とミセルを形成する。この胆汁酸は肝臓でコレステロールから合成され、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸となり、グリシン、タウリンと抱合し抱合型胆汁酸の形で十二指腸から排出される。胆汁酸は水溶液中で一定濃度(臨界ミセル濃度)以上であると胆汁酸ミセルを形成し、その中に脂肪分解産物が溶解する。ミセルは微絨毛間に入り込み、このミセルから長鎖脂肪酸およびモノアシルグリセロールは単純核酸により膜を通り、腸上皮細胞内に取り込まれる。胆汁酸塩は強い界面活性力をもち脂肪の乳化を起こし脂肪の消化吸収に重要な役割を発揮する。胆汁酸ミセルから脂肪酸やモノアシルグリセロールが空腸で吸収されたのちに、胆汁酸はそのまま、腸管に移動した後、回腸で90%以上が再吸収され、肝臓にはこばれる。肝臓で再び胆汁の生成を行う。これを胆汁酸の腸肝循環という。一方、上皮細胞内で取り込まれた脂肪酸やモノアシルグリセロールは、ミクロソーム内でトリアシルグリセロールに再合成され、リン脂質やコレステロール、タンパク質を組み込んだキロミクロンという微粒子が合成される。このようにして形成されたキロミクロンは絨毛上皮細胞より乳および管を通りリンパ管へ移行する。

ビタミンの栄養吸収

ビタミンの吸収は、ビタミンの化学構造が多様のため吸収するメカニズムも多様である。脂溶性ビタミンは受動輸送により刷子縁の二層の脂質を通り、絨毛上皮細胞の乳および管に取り込まれリンパ管へ移行する。一方、水溶性ビタミンは単純拡散や促進拡散および能動移動により吸収される。

水・電解質の吸収

腸粘膜に摂取した水分や電解質の大半は吸収される。また、唾液腺、胃、膵臓、肝臓、腸で分泌された大量の消化液のほとんども吸収される。これらの主要なものはNaの能動輸送である。Naの能動輸送は、単糖類やアミノ酸と共通の担体に結合をして、細胞内へ共輸送されると NaはNaポンプにより細胞内から細胞間側腔に能動的に輸送される。このNaの能動輸送は小腸および大腸からの電解質や水を吸収するための原動力でもある。Naの輸送に引き続きClは受動的に輸送される。Clは浸透圧勾配に従って受動的に輸送される。カルシウムや鉄などの吸収はモルモンによる調節を受けている。また、カルシウムや鉄は体内バランスに依存している。すなわち摂取される量より多くのカルシウムや鉄が消費されたり排出されると、ホルモンのフィードバック機構により吸収が促進される。その逆にカルシウムや鉄が体内に多く存在している場合には負のフィードバックにより腸でのイオン吸収は減少する。。