離乳期における栄養管理のポイント
生後、4~6か月頃になると乳児は母乳だけでは満足できず、母乳を与えてもグズリだしたりもします。成長と共に味覚が発達をし、乳汁以外の味を好むようになり、唾液や消化器などの器官も発達してきます。離乳を開始をする時期は、赤ちゃんが固形物を食べれるようになる時期に個人差がありますので、焦らず時期を見て行うようにしましょう。 乳児の栄養所要量は「乳児の栄養所要量」を参照してください。次の点が離乳のポイントです。
- 必要な栄養成分がすべて含まれている
- 消化吸収が良く代謝負担が少ない
- 乳児の免疫機能が高まる
- 細菌を含まず衛生的でアレルギーの心配がない
一般的な離乳は、6か月頃からはじまり11か月から12か月で完了し、普通の食事へ切り替えていきます。離乳の開始は、今まで母乳などの乳汁であった食事から動物性と植物性の食品が混合したものに変わっていきます。離乳の基本は、水煮など味付けは殆どなく、出来るだけ多くの食品を与える様に心がけたいです。そして、骨を形成するのに必要なカルシウムを摂取する為にも牛乳400mlを摂る習慣をつけたいものです。
離乳初期 生まれて5~6か月頃
生後5ヶ月から6ヶ月頃に離乳をスタートしますが、子供の成長によっては若干の差があります。なめらかにすりつぶした状態のものを「ゴックン」と飲み込むこと、食べものの舌ざわりや味に慣れることの練習です。あせらずゆっくりと進めていきます。子どもの様子をみながら、1日1回1さじずつ始めます。つぶしがゆから始め、すりつぶした野菜、慣れてきたら、つぶした豆腐や白身魚など少しずつ量や種類を増やします。味つけはしません。母乳または育児用ミルクは、子どもの欲するままに与えます。
離乳中期 生まれて7~8か月頃
離乳食を開始して1か月を過ぎたころから食事の回数は2回食に進め、食事のリズムをつけていきます。舌でつぶせるくらいの軟らかく煮た物を「モグモグ」口を動かして食べる練習をします。おかゆはつぶさず、10倍がゆから7倍、5倍(全がゆ)へと少しずつ水分量を減らしていきます。野菜、豆腐、白身魚、脂肪の少ない鶏肉など食品の種類を増やしていきます。卵は固ゆでにした卵黄を少量から与えます。1回の食事に穀類、野菜、たんぱく質性食品を組み合わせた内容のものとします。料理の味付けはだし汁を活用してごく薄味にします。また、料理にとろみをつけると食べやすいです。離乳食を食べた後に母乳又はミルクを飲ませます。離乳食とは別に母乳は子どもの欲するままに、ミルクは1日3回程度飲ませます。
離乳中期 生まれて9~11か月頃
食事のリズムを大切に、1日3回食に進め、歯ぐきでつぶせる程度の固さのものを「カミカミ」して食べる練習をします。多くの食品を使用して、料理にも変化をつけます。鉄分が不足しやすくなるので、鉄分を多く含むレバー、肉、赤身の魚などを十分に与えるようにします。大人の食事からの取り分けもできますが、薄味に仕上げます。汁ものをコップや汁わんから飲む練習を始めます。このころから、家族一緒の食卓も楽しめるようになります。食欲に応じて、離乳食の量を増やし、離乳食の後に母乳またはミルクを与えます。育児用ミルクは、フォロアップミルクへと切り替えていきましょう。離乳食とは別に母乳は子どもの欲するままに与え、ミルクは、1日2回程度与えます。
離乳完了期 生まれて12~18か月頃
食事の回数は3回の食事と間食(おやつ)を与え、食事から十分な栄養が取れるようになります。料理は、歯ぐきで噛める固さのもので、幼児食に近づけていきます。ミルクを哺乳瓶で飲むことから、コップで牛乳を飲むことに切り替えます。自分で食べる楽しみを手づかみ食べから始めます。手づかみ食べとは、食べものを目で確かめて、手指で感触をつかんで口まで運び、前歯を使って自分なりの一口量を噛みとり奥の歯茎で噛みつぶすという目と手と口の協調運動であり、摂食機能の上で重要な役割を担うものです。一口大やスティック状にした食べもので十分練習をさせましょう。手づかみ食べが上手になり、自分で食べようとする意欲がみられるようになったら、スプーンを持たせ、スプーンですくいやすい安定した食器を使用し、食べものをスプーンにのりやすい大きさに切って盛り付けてあげましょう。盛り付けや色彩も考慮して食べる楽しさの体験を増やしていきます。子どもの気持ちを大切にすることにより、自分で食べる意欲が育ちます。形のある食べものを噛みつぶすことができ、栄養の大部分を母乳、ミルク以外の食べものからとれると離乳は完了です。
幼児期における栄養管理のポイント
乳児期が終わり、幼児期は、そのヒトの食生活を決定づける大切な時期でもあると言われています。(一般的に幼児期とは離乳が完了する1歳~1歳6か月頃から就学前の6歳頃くらいまでの子どもを対象とした食事のことをいいます。)乳児期の栄養では、規則正しく食事をする習慣を身に着けさせ、おやつは食事の一部分として位置づけ適正栄養量を確保するようにしましょう。また、バランスのよい食事スタイルにさせるため好き嫌いを少なくする事などが非常に重要です。幼児期の食事では、栄養摂取という面の他に、幼児の自律性を尊重させながら正しい食生活を身に着ける事が大切であります。これが成人後の食生活の基礎となりますので正しい食生活を身に着けたいものです。乳児期の食事のポイントは以下のとおり。
- 食事の時間を決め、生活のリズムを作る
- テレビを見ながらやダラダラ食べない
- 食事前の手洗い、食中毒予防
- 食事の前、後のあいさつ
- 家族が一緒に食事をし、団らんの場をつくる
- 日中は外で運動をさせる事が食欲増大にもつながる
上記のとおり規則正しい食事をする事で、生活にリズムができ、また消化器やホルモンの分泌もよくなります。また、しっかり栄養を摂取することが成長する時期なので、日中は外でよく遊び空腹にさせることが食欲増大にもなります。幼児は、非常に多くのエネルギーや栄養素を必要とします。ですので、一日3回の食事だけではなく、おやつを上手に取り入れて不足分を補ってください。
乳児から幼児の食事中の行動
1~2歳は、スプーンや皿を持って食事をするが、こぼす事がおおいです。面倒になって、手づかみで食事をしようとすることがあります。3~4歳は、好き嫌いが出始め食欲にムラが出てきます。食事をこぼしたり、ひっくり返したりもする時期でもあります。徐々にコップやスプーン、時には箸を上手に扱うようになり、食べ方も早くなる。食事中の行儀はよくないが、好き嫌いは徐々にへります。5~6歳は、話しながら食事する事ができ、食べ方も早くなる。しかし、終わりまで食事をしている事ができず、足を投げ出したり、テレビを見たします。これは、あくまでも平均的な幼児における食事の行動をまとめたものです。幼児は個人差が大きく、決してこの内容どおりでない幼児も多いです。特に遅い幼児に無理に躾ける事は、トラウマになる事もあり逆効果です。幼児の発育状態を見ながら焦らず指導する事が好ましいです。
幼児期の偏食と栄養
私たちヒトは、雑食で日頃から多くの食品を摂取しています。多くの食品から私たちは選び、調理可能をして食事というスタイルで栄養素を補っています。食品は、地域や家庭によって偏りもありますが、同じ家族であったても食材の好き嫌いはあります。好き嫌いが出始めるのは、幼児期の2歳頃だといわれております。健康に支障がない程度の好き嫌いであれば、特に矯正させる必要もないですが、非常に激しい偏食が成長に著しく影響を与える場合には矯正する事もあります。ひどい偏食の食習慣を作ってしまうと矯正するのに多くの時間が必要であり、なるべく矯正するならば早めにした方が良いかと思います。但し、強引に偏食を矯正させる事で、本人がトラウマになり逆効果な場合もあるので時間と根気が必要です。幼児の適正栄養量は「幼児(3~5歳)の適量」を参照してください。
幼児期の食育
幼児期は、乳児期同様に成長と発達の最も大切な時期です。食べることを習得し、食事のマナー等も身につけていく食習慣の原点でもあります。食生活の大部分を担う家庭において、大人は自分自身の健康に留意した食生活を実践するとともに、子どもの欠食や孤食をなくし、「食」に感謝する心や「食」に関する正しい知識を伝えていきましょう。
肥満について
赤ちゃんの頃には太っていた子どもも、幼児期に入るとスマートな体つきになってきます。ところが、甘いものや刺激の強いもの等への要求が強くなったり、食べ過ぎる傾向が見られたりすると、肥満に結びつきやすくなり、徐々に体重の増加が目立ってくることがあります。幼児期から食事を含む生活習慣を見直して、肥満になりにくい環境を整えましょう。
乳児から幼児の食事中の行動
おやつは、子どもたちの楽しみであったり、1日に必要な栄養量を3回の食事で摂りきれない場合に、それを補うための食事の一部と考えます。甘いお菓子やスナック菓子ばかりを与えるだけでなく、牛乳や果物とうまく組み合わせましょう。また、次の食事に影響がでないように、食べる時間や量をあらかじめ決めておきましょう。
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