身体測定の項目と説明と栄養状態の把握
身体測定は、小学校や中学校で行っているものばっかりで、どの測定内容も馴染みがあるものばっかりです。身長、体重、胸囲、座高、上腕囲、皮下脂肪の厚さなどを測定し、その測定値を組み合わせた栄養指数により判定します。これにより、いままでの栄養状態を把握できると考えられます。
身長測定による栄養調査
身長は、骨格の成長が順調であるかを調べる重要な指標になります。身長に栄養障害の影響が出るまでには、非常に多くの時間がかかるので、現在の栄養状態を表しているわけではありません。身長の低さは過去の慢性的な低栄養を示しています。身長は、骨を増大させるカルシウムやマグネシウムの摂取量だけではなく遺伝的な影響も大きく関与しています。
体重測定による栄養調査
体重は成長や栄養状態の指標として最も普通に用いられています。身長より体重の方が変化しやすく、また、最近の食事状況も繁栄しやすい特徴もあります。体重は身長によって影響されるが、身長に対する体重の比率で肥満や痩せの判定に用いられる事がおおいです。また、最近ではBMIが国際的に使用されている指標でもあり一般的になってきました。
胸囲測定による栄養調査
胸囲と比胸囲は、簡単に説明しますと胸囲を測定して、その胸囲の値が身長に対して比率が大きければ、胸郭内の心臓や肺がよく発達している事を示し、一般的に栄養状態が良い事を示します。胸囲測定の測定手順は次のとおり。
- 上半身を裸にし、2歳未満の乳幼児は仰臥位で、2歳以上の幼児は立位で計測する。
- 両腕を軽く側方に開かせ、片手に巻尺を持ち、巻尺の背面から前方に廻す。巻尺は左右の乳頭点を通り、体軸に垂直な平面内にあるようにする。
- 巻尺は強くしめず、皮膚面からずり落ちない程度とする。
- 計測値を読むときは自然の呼吸をしているときに呼気と吸気の中間であること。泣いているときは避ける。また、幼児は胸に力を入れることがあるのでこのようなときは話しかけたりして緊張をやわらげるとよい。 オ 1mm単位まで計測する。
上腕囲測定による栄養調査
上腕囲は、利き腕でない方の腕の周囲を測定します。測定方法は、腕を前側方に水平に伸ばした状態で測定をします。皮下脂肪圧の代わりによく測られます。ちなみに男性の二の腕の平均サイズからです。国立研究開発法人「産業技術総合研究所」のデータでは、上腕屈曲囲の平均(50パーセンタイル)は29.4cmなので、ここから約1cmマイナスしたサイズ、つまり28~28.5cmが男性の二の腕の平均サイズと言って良いでしょう。一方、女性の上腕屈曲囲の平均(50パーセンタイル)は、26.1cmです。
皮下脂肪厚測定による栄養調査
皮下脂肪厚は、上腕伸展側中間部、背部肩甲骨下端部の皮下脂肪厚を測定します。この両者の和が男性は40mm、女性50mm以上を肥満としています。皮下脂肪の測定には、測定専用の皮下脂肪厚測定器(キャリパー)を用い、「キャリパー法」や「皮下脂肪厚測定法」と呼ばれます。ヒトの皮膚が0.5~2.0㎜と薄いため、キャリパー法では皮下脂肪の厚みを直接測定することができるといえます。体脂肪の蓄積は健康に悪影響を及ぼします。キャリパー法で皮下脂肪厚を測定することで体脂肪の状態を把握することができます。測定した皮下脂肪厚から体脂肪率を算出できるため、体脂肪測定計など測定機器がなくても簡単に測定することが可能となります。
キャリパー法は、測定前にキャリパーではさむ圧力が10g/㎟となるようにバネばかりの重さを調節します。計測者は対象者の測定部位(上腕背側部や肩甲骨下部)をつまみ、つまんだ指から1cm程度離れたところをキャリパーではさみます。値が一定になったところで測定値を読み上げます。測定時の注意点は、つまんだ部位をはさむ際にキャリパーがななめにならないようにすることです。つまんだ部位に対して垂直にキャリパーを当てるように注意が必要です。
生体インピーダンス法とは、体内に微弱な電流を流し電気抵抗値(インピーダンス)を測定することで、上肢、下肢、または全身の体脂肪率を推定式から算出する方法です。インピーダンスから体脂肪率を推定するため、体内の水分量によって値が左右されます。最近では、体脂肪率の測定は生体インピーダンス法が主流であるため、施設によってはキャリパーを置いていないことがあります。そのためキャリパー法で測定が可能かどうか施設に事前に問い合わせる必要があります。