抗酸化物質の性質と体内作用
抗酸化物質には、生体由来の物質もあれば、食品あるいは工業原料の添加物として合成されたものもある。抗酸化物質の利用範囲は酸素化反応の防止にとどまらず、ラジカル反応の停止や酸化還元反応一般にも利用されるため、別の用途名を持つ物も少なくない。本稿においては、好気性生物の生体内における抗酸化物質の説明を中心に、医療あるいは食品添加物としての抗酸化剤を説明する。もっぱら工業原料に使われる酸化防止剤などについては関連項目の記事を合わせて参照いただきたい。
- 野菜や果物は、抗酸化物質を非常に多く含みます。野菜や果物を多く摂取する食事スタイルは、抗酸化物質のみならず食物繊維や有機酸など健康に良い物質を多く摂取ができ私たち管理栄養士もおすすめします。既に色々な統計データーより野菜や果物をより多く摂る人たちは、いくつかの病気にかかるリスクが低くなることがわかっていますが、野菜や果物に含まれる抗酸化物質の量が関係するかは研究中です。
- 食品中の抗酸化物質の安全性については問題はありませんが、高用量の抗酸化サプリメントは健康に害をおよぼす可能性があります。高用量のベータカロチンサプリメントを喫煙者が服用すると、肺癌のリスクが高くなる可能性がありますし、高用量のビタミンEサプリメントを服用すると前立腺癌や脳卒中の一種のリスクが高くなる可能性があります。
- 抗酸化サプリメントは、ある種の薬と相互作用を引き起こす場合があります。
- 10万人以上を対象に、抗酸化物質が心血管系疾患やがん、および白内障などの慢性疾患の予防に効果があるのかを厳密な科学的調査がおこなわれましたが、抗酸化物質がこれらの病気発症のリスクを減らすことはほとんどありませんでした。
主な抗酸化物質の特徴
- ビタミンA
- ビタミンC
- ビタミンE
- コエンザイムQ
- フラボノイド系ポリフェノール
- 非フラボノイド系ポリフェノール
- イオウ化合物
- カロテノイド
活性酸素と抗酸化作用
抗酸化作用とは、その言葉のとおり「酸化」しない作用があるという意味ですが、何がどお酸化しないか難しいですよね。実は、私たちの体は、色々な影響を受けると体内が酸化します。色々な病気の原因と言われている活性酸素という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれませんが、この活性酸素を増やさない仕組みが私たちの体にはあります。しかし、抗酸化酵素を作り出す力は20代をピークに低下し、抗酸化作用は加齢と共に減弱してしまいます。そこで、体内での抗酸化酵素の生成を高めるためにも、食品から抗酸化作用を持つ栄養素を摂取することが大切です。今回は、抗酸化作用を持つミネラルとビタミンを紹介します。
活性酸素はなぜ増えるのか
活性酸素は、生きている限り誰の体内でも発生するものです。普通に生活しているだけでも、呼吸によって体内に取り込んだ酸素の約2%が活性酸素に変化すると言われています。さらに、次のような生活習慣や生活環境によって、活性酸素が増加しやすくなることも知られています。
- ストレス:抗ストレスホルモンが分泌・分解される過程で活性酸素が発生します。
- 喫煙:タバコに含まれる有害物質を処理するために活性酸素が発生します。主流煙や副流煙にも有害物質が含まれます。
- 暴飲暴食:体は食べた分だけ燃やしてエネルギーを作り出そうとするので、活性酸素の発生量も多くなります。
- 食品添加物:化学合成物が分解・解毒される過程で活性酸素が発生します。
- 紫外線:長時間紫外線を浴びて日焼けなどをしてしまうと、活性酸素が発生します。
- 激しい運動:大量のエネルギーを必要とし、大量の酸素を消費するため、活性酸素の発生量も多くなります。
- 排気ガスなどの大気汚染:排気ガスなどに含まれる有害物質が原因で活性酸素が発生します。工場のそばや交通量の多い道路など、空気の悪い住環境は要注意です。
抗酸化作用を高める食生活を
私たちヒトは、生きている間に徐々に酸化することがわかってきました。その酸化が老化か色々な病気の原因の1つであると考えられています。少しでも酸化を防ぐためにも抗酸化作用のある食品を積極的に摂取しましょう。私たちは食事のメニューとして、肉や魚などのメイン料理ばかり考えがちですが、実は添え物の野菜、香辛料、調味料、デザート、飲み物なども、酸化の抑制に大きな役割をになっているのです。例えば、キウイやイチゴ、トマトなどに多く含まれるビタミンCや、ナッツ類、大豆などに多いビタミンEを、「若返りビタミン」ともいいます。ビタミンCやEには、細胞の酸化(老化)を防ぐ働きがあるからです。抗酸化成分には、ほかにも次のようなものがあります。赤ワインやブルーベリー、リンゴ、ココアなどのポリフェノール(*1)、緑茶のカテキン、ピーマンやニンジン、カボチャなど緑黄色野菜のβカロチン、トマトやスイカなどのリコペン、豆類やタマネギ、シソ、緑茶などのフラボノイド、ゴマのセサミノール、ニンニクやキャベツなどの含硫化合物、エビやカニの色素アスタキサンチンなど。抗酸化成分には面白いことに、3大栄養素(たんぱく質・脂肪・炭水化物)以外の微量栄養素や色素が多いのです。また。抗酸化成分は、色の濃い植物性食品に多いという特徴もあります。ただ抗酸化成分は、どれか一つを食べれば済むというものではありません。「○○が体にいい」と聞くと、それだけを集中的に食べる人がいますが、そうした方法にはおすすめしません。毎日の食事でバランス良く色々な食品を摂取する様に心がけましょう。。