食生活の改善で生活習慣病の予防
食生活の乱れで起こる疾患としては、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、虚血性心疾患、脳卒中、一部のがん(大腸がん、乳がん、胃がん)、糖尿病、骨粗鬆症などがあります。これら疾患にならないためにバランスの良い食事を心がけることでエネルギー(消費とのバランスとして)、脂質、ナトリウム、カリウム、食物繊維、抗酸化物質、カルシウムの摂取量を適正にすることで疾病のリスクを下げることが可能だと考えられています。各栄養素の適正量は以下のとおりです。
エネルギー(カロリー)
適正なカロリーにすることは、肥満を改善させるうえで最も重要なことです。その為、肥満の状態を把握するための指標BMIを用い、標準値22.0から値が大きな場合には改善が必要です。肥満は各種疾病のリスクファクターであり、肥満予防が疾病発症の予防につながることから、肥満者の割合は20~60歳代男性で15%以下に、40~60歳代女性で20%以下にすることを目標としています。また、小児の肥満が増大していることから成長期の栄養管理も強化しなければなりません。
脂質(脂肪)
適正な体型になるためには、1日に摂取するエネルギー量が適正量より多くならないように注意しなければいけませんが、摂取するエネルギーのうち脂質による割合が高くならないように注意する必要があります。総エネルギーのうち脂質によるエネルギーの割合が高いと動脈硬化性心疾患の発症率や乳がん、大腸がんによる死亡率の増加が認められています。その為、厚生労働省では、脂質によるエネルギー摂取を総エネルギー比率を平均25%以下にすることを目標としています。脂質の栄養については、「脂質の栄養」を参照してください。
塩分(塩分相当量)、カリウム、食物繊維など
食塩(ナトリウム)については、高血圧予防の観点からは、諸外国では6g以下が推奨され、日本では10g未満が推奨されています。また、カリウム、食物繊維、抗酸化物質などの摂取は、循環器疾患やがんの予防に効果的に働くと考えられていますが、特定の成分を強化した食品に依存するのではなく、基本的には通常の食事として摂取することが望ましいとされています。そのため野菜の摂取が推奨され1日の野菜摂取量を平均350g以上を目標としています。また、カルシウムについては、成人で600~700mgの摂取量が必要とされています。
ライフスタイルにあわせた食生活と栄養
食生活をまとめるにあたり、4つのグループに分けてみる事にしてみました。この4つは食文化を考える時に非常に大きなものであり、ぜひ参考にしていただければと思います。
健康のための栄養と食生活
健康な時や健康に不安を感じない時は、食生活を見直そうという気持ちにはなりずらいです。これは食生活を改善する事で、好きな料理や食品が食べられなくなる、もしくは制限されてしまう可能性があります。しかし、疾病などにより医師から食生活を改善するように指導を受けてからでは遅い事もあります。ぜひ、日頃から健康を維持するために日頃の食生活には十分注意してみてください。
疾病時における栄養と食生活
日本人の栄養摂取状態は、他の国と比較すると非常に栄養的に勝っておりますが、個々の栄養摂取状態を見るとばらつきが大きいのも特徴です。これは非常に食料が豊富で、好きなものを、好きなだけ、好きな時に、食べられる環境であるからと言えます。この飽食の環境の中で欲のまま食べ続ける事で肥満になり、生活習慣病のリスクが非常に高くなっているともいえます。もし、あなたが生活習慣病になった時、医師は食事指導を行います。この食事指導により症状を緩和させたり、治療効果を早めたりします。食事は治療の一部だと考えられ、しっかりとした栄養管理する事で病気の治癒に食事は大きく貢献をいたします。
加齢者の栄養と食生活
日本は、かつてない高齢化社会へ突き進んでおり社会的な問題となっております。高齢化社会が進む事で高齢者の栄養管理の問題がクローズアップされてきました。これは、成人より高齢者は、生活活動レベルが低下し基礎代謝も低下します。成人よりも消費エネルギーが低下をします。ここでは各年齢ステージにおける食生活についてまとめてみます。
生活のリズムと栄養と食生活
様々な研究で体内には時計がある事がわかってきました。昔の人は、「腹時計」などという言葉を使ったりしていますが、まんざら嘘でもない話です。睡眠は、24時間周期で繰り返され、女性の生理は28日周期でサイクルしています。この様に体内には時計があり、規則的な動きをしようとする働きがります。食事や睡眠を規則的にする事は、この体内時計が規則的に動く為の必須条件であります。規則正しい生活をする事で体内にリズムが生まれ、ホルモンなどの分泌も規則正しくなり、安定した生活環境を構築する事ができます。なかなか現代社会で規則正しい食事や睡眠は難しいですが、ぜひ実施してみてくださいね。