吸収された栄養素の経路
腸管で吸収された栄養素は、単糖類やアミノ酸などの水溶性物質は上皮吸収細胞に取り込まれて絨毛中の毛細血管網に入り、上腸管膜静脈、門脈を経て肝臓に運ばれ代謝をする。一方、長鎖脂肪酸あるいはモノアシルグリセロール、脂溶性ビタミンは、胆汁酸塩とともにミセル化を形成し微絨毛膜から九州される。その後、トリアシルグリセロールに再合成され、キロミクロンなどのリポタンパク質として絨毛の中心乳および管からリンパ管に入り胸管を経て左鎖骨下大静脈で血行中に移行をし、全身を循環をした後に肝臓やその他の臓器で利用される。
栄養素の吸収後の消費
食事などから摂取した食品は、胃腸で消化、分解、吸収をされて血管内に取り込まれる。栄養素は血流にのり必要とされる組織へ運ばれ代謝される。代謝は、その栄養素により異なる。
糖質の吸収
消化されたグルコースは、そのままの形で、それ以外の単糖類は肝臓でグルコースに変えられた後に血液中に入って全身に運ばれ、その一部はグリコーゲンとして貯蔵をされる。必要に応じて肝臓のグリコーゲンは分解してグルコースとなり血液中の血糖値を維持する働きもある。脂肪組織に運ばれたグルコースは、中性脂肪の形で貯蔵され、皮下脂肪となる。肝臓、筋肉、その他の組織でグルコースが酸化分解するとエネルギーが生成され、それを利用して生命が維持をされている。
単糖類にまで分解されて吸収される
糖質の消化の過程は管腔内消化と膜消化に分けられる。管腔内消化では主に膵液中のα-アミラーゼによって多糖類であるデンプンやグリコーゲンを少糖類である麦芽糖、1-6-グルコシドおよびマルトトリオースに分解するが、これらの終末産物は小腸上皮から吸収されないため、最終的には微絨毛膜に存在する酵素(マルターゼ、イソマルターゼ)などにより単糖類にまで分解され、吸収されることになる。単糖類の刷子縁からの吸収は前述したように主にNa+依存性の輸送担体による能動輸送と単純な受動拡散によって行われる。吸収された単糖類は吸収細胞の側底膜に存在する輸送担体による促進拡散機構によって門脈系へ移動していく。
脂肪の吸収
胃リパーゼや膵リパーゼによって中性脂肪が加水分解され、遊離脂肪酸と2-モノグリセリドが産生される。2-モノグリセリド、脂肪酸は不溶性であるが、十分量の胆汁酸、ホスファチジルコリン、コレステロールからなるミセルに入る。ミセルは水溶性であり、吸収上皮細胞表面にある不撹拌水層を拡散し、受動拡散により吸収細胞内に吸収される。吸収された長鎖脂肪酸は小胞体に入りアシルCoAシンセターゼの作用でアシルCoAになり、モノアシルグリセロール経路に入り脂肪酸(トリグリセリド)に再合成され、カイロミクロンの形になり、乳び(chyle)となってリンパ管に入り胸管に移行していく。これに対し炭素数10〜12より短い中鎖トリグリセリド(MCT)は水溶性である中鎖脂肪酸に分解されて小腸吸収細胞に容易に吸収され大部分がそのまま門脈系に移動し、肝で代謝され、速やかにエネルギー源となる。