栄養学について管理栄養士が簡単に解説栄養学とは

管理栄養士が教える「かんたん栄養学」

栄養栄養学と聞いてしまうと少々難しい感じがしますが、私たちが食べている食事の事です。栄養は、ヒトは生命を維持するために必要な物質を食品から摂取をして体内に取り込まれます。もし、食事ができず空腹の状態が長く続くと肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲン(ブドウ糖が結合した多糖類)をエネルギー源として利用します。しかし、その貯蔵量は少なく、わずか1日で使い切ってしまいます。 次に、体内の脂質やタンパク質を分解してエネルギー源として利用します。その結果、1週間で約2kgの筋肉が喪失すると考えられます。このように食事ができないと脂質や筋肉の分解が進み、脂肪を除いた体重が健常時の70%となると、nitrogen death(窒素死)と呼ばれる生命の危機が生じるといわれています。その為、私たちの体を健康的な状態を維持するためにも食事は非常に重要であります。 食事などで摂取された食品は、胃や腸で消化吸収をされて体内の様々な部位でエネルギーや体を構成する成分として使われます。このように生命活動を維持し体を構成する為に必要な物質を『栄養素』と呼びます。基本的な栄養素には、脂質糖質タンパク質ビタミンミネラルがあり、これらを5大栄養素と呼びます。日頃食事から、糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素は「からだの構成成分」「エネルギー源」「からだの機能調節」の三つの大きな役割をもっています。 「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、50歳男性の1日摂取エネルギー量は約2450kcal であり、その割合は糖質57.5%、タンパク質16.5%、脂質25%となっています。ちなみに1g あたりのエネルギー産生量は、糖質4kcal、タンパク質4kcal、脂質9kcal です。

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近年の日本人の栄養摂取状況は過剰摂取の傾向

正しい栄養を知る事は、私たちの生活にとって非常に大切な事です。特に若い頃の暴飲暴食や乱れた食生活は、蓄積され肥満の原因とされています。特に注意をしなければいけないのは、脂質、糖質、塩分の過剰摂取と食物繊維の不足です。また、塩分(ナトリウム)の過剰摂取は高血圧の原因です。また、食物繊維の摂取不足は、便秘の原因とされ、便秘症を放置する事で大腸がんのリスクが高いという調査報告もあります。

食生活の改善とライフスタイルにあわせた栄養

戦後日本は、食糧難の時代を乗り越え、現在では動物性タンパク質や脂質の増加等など食事の内容が豊かになりました。しかし、この様な食生活ががん心疾患脳卒中糖尿病等の生活習慣病の増加が深刻な問題となっています。最近では、「日本型食事」など昭和40年前後の食生活を推奨する動きもあります。また食生活を取り巻く社会環境の変化に伴い、朝食欠食率の増加、加工食品や特定食品への過度の依存、過度のダイエット志向、個食により家族の団らんの喪失などが見られます。

 食生活と栄養

栄養の歴史

栄養学という学問が確立したのは近代ですが、食事と健康の関係については古くから言われ続けており、古くはメソポタミア文明まで遡ります。日本における栄養学の歴史1871年(明治4年)に、ドイツ医学で教えたドイツ人ホフマンによって栄養についての知識が日本に伝えられた。その後、栄養学の考えが広まったのは、大正13年に矩の栄養学校(現在の佐伯栄養専門学校)、昭和8年に香川綾の家庭食養研究会、昭和14年に女子栄養学園、昭和14年に陸軍の糧友会が食糧学校を設立した。昭和22年に栄養士法ができ、上記の栄養学校、食糧学校、女子栄養学園で栄養学を学んだものに与えられていた栄養士という称号が公的なものとなった。1962年、管理栄養士が制度となる。

 栄養状態の推移と歴史


栄養状態の判定と評価

毎日の食生活が不規則だったり、バランスが悪いと様々な症状が現れます。特に食事の時間が不規則であったり、偏食などにより食事をすると必要な栄養を確保できず体調に変化が現れます。栄養状態を正しく評価する事は、個々の改善ばかりではなく、入院や治療の患者さんの治療効果や回復の度合いを測定したり、地域住民の指導、国の食糧政策や栄養改善政策など様々な方面において活用する事ができます。

 栄養状態の判定

消化は、食べ物を体内に取り込める小さく分解すること

消化とは、種々の栄養を体内に吸収できるものまで分解し、不要物を肛門から糞便として排出することです。これは、吸収することができる形に食べ物を分解する機械的および化学的なものです。

 消化について

吸収は、消化により小さく分解されたものを体内へ取り込む

摂取した食品はそのまま体内に取り込まれる訳ではなく、消化管で様々な消化液と混合し分解をして小さいレベルに消化されます。栄養を小腸から体内に取り込み、様々な臓器で利用をし生命の維持に活用をする事をいいます。

 吸収について

5つの大切な栄養素

私たちが生きるために必要な基本的な栄養(タンパク質、脂質、炭水化物)を三大栄養素と呼びますが、これにビタミンミネラルを加えたものを五大栄養素と言います。三大栄養素は、私たちが生きるためのエネルギー源だったり、血や肉の材料であり非常に重要なものです。ビタミンやミネラルを必要とする量はわずかですが、不足した状態が長く続くと代謝が十分に行えず死亡する事もあります。以前は、三大栄養素を中心に説明していましたが、ビタミンやミネラルの解明されるのにつれて五大栄養素をバランスよく摂取する事が一般的になりました。

タンパク質(Protein)の栄養

食事から摂取したタンパク質は、消化吸収された後に皮膚、骨、筋肉、毛髪、血液などになります。体重の約20%を占め、体をつくる主要な栄養であるとともに生命の維持に欠かせないです。また、体内の糖質が枯渇した際には、筋肉などを分解してエネルギー源として使われることもあります。タンパク質は、20種類からなるアミノ酸で構成されています。一部のアミノ酸は、体内で合成する事ができず食事から摂取する必要があります。この様なアミノ酸を必須アミノ酸といいます。

 タンパク質の栄養

脂質(Fat)の栄養

脂質とは、物から単離される水に溶けない物質を総称したものである。脂質は肉の脂や植物油、コレステロールなどの主な成分で、身体の主要なエネルギー源になるほか、細胞膜やホルモン、体の仕組みに働きかける生理活性物質の材料になるといった重要な役割があります。余った脂質は中性脂肪として主に脂肪細胞に貯蔵されます。食生活の欧米化により日本人の脂質摂取量は増え、むしろ摂りすぎによる肥満や脂質異常症、メタボリックシンドローム、動脈硬化などといった生活習慣病が問題となっています。

 脂質の栄養

炭水化物(Carbohydrate)の栄養

私たちが毎日摂取している食品の約60%は炭水化物です。摂取した炭水化物は、消化管で消化・吸収をされグルコース(ブドウ糖)として体内でエネルギー源として生命の維持などに使われます。過剰な炭水化物の摂取と運動不足が原因で肥満による糖尿病が問題とされています。特定健康診断でもメタボ体型を指摘される方が炭水化物を多く摂取しておりエネルギー量のコントロールを指導されている方も多いです。

 炭水化物の栄養

ビタミン(Vitamin)、ミネラル(mineral)、その他栄養素

ビタミン(Vitamin)は、人体で作る事が出来ない微量な物質であったり、体内合成できるが非常に微量である栄養素です。ビタミンは、13種類があり性質や機能、必要量(栄養所要量)が最近では解明されています。ミネラルは、地球上に存在する118種類の元素のうち、水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)を主要構成成分としているタンパク質、脂質、炭水化物を除いた114種類の元素をいいます。栄養学でも無機質とほぼ同意で使われています。

 ビタミン、ミネラル、その他栄養素の働き

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